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06_大団円
336
: 2012/02/06(Mon) 00:17:20
魔音@GM

 セッション進行最終スレです。
 冒険者たちは、事件の背後にある街の呪いまでを解き明かし、大団円を迎えました。
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解放の時
337
: 2012/02/06(Mon) 00:26:24
魔音@GM

 何だったのか? ルーイが観察した像の名残の液体は、まだ何かの形を
とろうとしていた。それは木の根、あるいは生物の末端器官を思わせた。
 けれどやがて力尽き、黒い染みとなり弛緩して消えた。
 ルーイは、創世神話で始原の巨人の血肉から生まれ出た者たちのことを
思い出したかも知れない。像が宿していた力は、全く及ばないまでも、
神威を伴っていたことに間違いはなかったことだろう。

    ◇

「うむ。良い仕立てであろ? これも悪くはない」
 服のことを聞かれてエリンは言った。
「じゃが、この格好は少々くたびれる。ゆえに妾は、さっきの装束の方が
気に入っておる。
食い物をおもいっきり頬張ることもできるしな!」

   ◆◇◆

 期待と不安のないまぜになった視線をカーツに向けていたエリンは、
三つの願いを聞いた途端、ぱっと目を輝かせ、
「うむ! 願いは聞き届けられたぞ!!」
 元気よく返答するや、ばびゅんとカーツに飛びついた。そして、暫く
ひっついていたが、名残惜しそうに離れ、一度不可視の霊体になって、
エシエルの元で再び実体化する。
 エリンは、エシエルの枕元に立って額に手をかざした。直後、彼を
捕らえていた呪いは、木の根に風化させられる石壁のように、ジワリと
浸食され、砕けた。後に残った根様の魔力は、自壊し、やおら剥がれ落ちた。
 効果は、直ちに現れた。陶器を思わせる白い肌に血が通い始め、赤みが
差す。古代の戦士たちの彫像と同じく、固く結ばれていた口元も綻んで、
穏やかな笑みに変わる。
 意識はまだ戻らないが、エリンはこれで満足した。

 エリンが次に現界したのは、石化した木々の転がる開けた土地だった。
 この土地で彼女がやったのは、しゃがんで土をひとすくい手にとり、
さらさらと元の地面に撒いたことだった。
 その結果はあるかなしかの変化だったが、精霊使いたちには、この土地で
遮蔽されていた、ノーム以外の精霊力が微弱ながら回復していることに
気づいたことだろう。
「街の地下は、誰かが面倒をみることになるじゃろうな」
 戻ってきたエリンは、街の地下水路で遮蔽されていた植物の精霊についても
言及した。今後は、メンテナンスフリーというわけにはいかなくなるという
ことだった。だが、歪んだ精霊力の下で、より大きな破壊に至よりはずっと
いい筈だ。とも。

 最後の願いを前に、エリンは皆に再度礼をする。
「お主らに感謝をするというのも筋違いかもしれんが、妾はこの感情を向ける
適当な相手として、やはりお主らが相応しいと思わざるを得ないんじゃ」
 もってまわった口ぶりだったが、彼女なりの最大限の礼だった。
「じゃが、今回は別れは口にすまい。妾は去るが、いなくなるわけでは
ないからの」
 言って、一人ずつ無言で抱擁をしてまわる。口に出すと、おそらく泣いて
しまうからだろう。歯を食いしばってただ小さな手を各々の背中に回す
だけだった。

 エリンは二つの巨樹の古株の間に立って、両の手を天に差し向ける。
 すると、どんぐりはカーツの手の中で、緑から金色の輝きを帯び始めた。
 光は輝きを増すが、眩しさはなく、目を開けているのに差し支えは
ない。光の中で、どんぐりを形作る宝石は溶け始める。と同時に、古株に
変化が生じ始める。エリンの両腕に相似した二本の巨樹が再生を始め、
絡まり合う古の姿を取り戻し始めたのだった。
 二本の樹の境界には、小さな泡状の揺らぎが生じ始めていた。薄く、
移ろいやすい膜は、七色の光を放ちながら樹の再生と共に伸展し、人間が
通り抜けられるほどの大きさとなった。
 その間にも、樹は一行を乗せたまま再生を続け、円筒状の墓所を
埋め尽くすだけでなく、繭を破って羽化する蝶のように天井と壁を破り、
500年ぶりの地上へと顔を覗かせた。

 その頃、街の中にあった祠でも、変化があった。祭られていた神体が
芽吹き、根を張り、一夜にして若木へと成長を遂げたのだった。

 議会塔に代わって広場を見下ろすほどになると、成長は止まり、泡状の
境界もまた安定した。
 精霊界への門は、こうしてエリンを迎える準備を整える。
 エントもまたこのわずかな時間の間に成長し、幼体から成体へと変貌を
遂げていた。そこには成熟した女性の姿があったが、口調はあまり
変わらなかったので、その変化に気づいた者は少なかったかも知れない。
「またな」
 彼女が去り際に残した言葉に、
「えぇ。また」
 エシエルが目覚めて短く答えた。
 エリンは振り返ることなく、精霊界へと開かれていた扉は消え、
カーツの手に“みどりのぼうし”が残された。

 現実に戻った一行が、苦労して樹上から降りた話は、またどこかで語られる
ことだろう。
 樹下では、ジルの戦車に乗ったエシエルが「お帰りなさい」と一行を
出迎えた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔音@GMより
・エリンはどんぐりから解放されました。
・エシエルの呪いは解け、木々の成長後エリンの去り際に目覚めます。
・石化した森では、意図的に維持されていた精霊力の偏りがなくなります。
 これに伴い、街の地下水路の精霊力も偏りがなくなります。
・エリンが解放された後には、街の議会塔を蹴散らして、巨樹が
 にょきにょきと生えてきます。また、街の祠に残っていた神体も
 同様ににょーんと成長(?)し、木になる。という光景があちら
 こちらで見かけられます。

 列挙するとわりとあっさりとしてますが、わぁぃ。と結果をジロジロ
してます。・゚・(ノ∀`)・゚・。
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巨木
344
: 2012/02/06(Mon) 12:08:57
ルーイ


結局、そいつがなんなのかは、分からなかった。
ただ、神の力――当然だけど、暗黒神の――が関わっているんだろうって思えるくらいは、尋常なもんじゃなかった。
こんなこともあるんだな。

『お前の時代は、おしまい。
 もう出てくるなよ』

乾いて消えたその液体に、そう言い捨てた。


* * *


「うわああああああああああああああああおちるうううううううううう」


エリンの解放とともに爆発的に育つ樹。
それはもう大樹とか巨木とかそういう次元じゃなくて。
その成長が止まる頃には、オレはきっと星界まで行っちゃうんじゃないかと思ったもんだけど、それは当然ながら大げさだった。
でも、少なくとも、塔よりは高いわけだ。


「うわぁ、いい眺め!」


樹の成長が止まった後、おっかなびっくり立ち上がって、「元」石の街、テクラルを見回す。
そこかしこににょきにょき伸びてるのは、きっとエリンの眷属たちだ。
乾いた石の街だったテクラルは、あっという間に緑の街に変貌を遂げた。


「すごいな、これが上位精霊の力か」


こんな力を制御して、今まで使ってきたんだ。
それは、すごいことだけど。
やっぱり、ゆがんだ力なんだ。
オレは魔術師だから、こういうのに憧れはある。
オレがカストゥールに生まれていたら、きっと喜んで研究していただろう。
それがいいのか悪いのか、分かんないけど。
でもやっぱり、手に余る力は手にするべきじゃない。
少なくともみどりのぼうしは、現代の魔術力で扱うべきものじゃないんだ。


振り返ると、すっかりオトナになったエリンがいた。
どっちも、本当のエリンであって、エリンでないもの。
オレは精霊の力を扱うことはできないから、また会うことは難しいだろう。
でも、オレはこう言うんだ。


「またね、エリン」






------------
PLより:

エンディング連続投稿お疲れ様です!
こちらもぼちぼち投下していきまーす。
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精霊王の帰還。
349
: 2012/02/06(Mon) 22:20:37
ガラフ

>「うむ! 願いは聞き届けられたぞ!!」

カーツェナルから発せられた願いを、エリンは喜んで受諾する。
すぐに目の前から姿を消す。
そしてすぐに戻って来た。
表情の晴れやかな所を察するに、全ての願いは叶えられたに違いない。

>「街の地下は、誰かが面倒をみることになるじゃろうな」

エリンは呟く。

「確かに…地下水道に植物が生え出したら補修が大変そうですな」

しかし、それは自分が気にする事ではないだろう。
先祖が造った建築は、これからも自然と共存していく筈だ。

>「お主らに感謝をするというのも筋違いかもしれんが、
> 妾はこの感情を向ける適当な相手として、
> やはりお主らが相応しいと思わざるを得ないんじゃ」

「ワシの方こそ貴女には感謝の気持ちでいっぱいですぞ。
 何を水臭い事を仰いますか」

何処か自分と似た様な物の考え方をする精霊王に、
共感を抱きつつも謝意を述べる。

>「じゃが、今回は別れは口にすまい。
> 妾は去るが、いなくなるわけではないからの」
 
そう言うと、無言で1人ひとりを抱きしめる。
今回は、照れは無かった。

「承知しております。木々の若葉に、草原の根に、
 春を寿ぐ花弁の中に、いつでも貴女が居る事を…」

そしてエリンは最後の願いを叶える。
絡み合い、成長する巨樹。
姿を現す、精霊界への門。

>「またな」

少女から成人して女性の姿へと変貌を遂げたエリンの、別れの言葉。

「ええ、いずれまた」

小さく頷く。
こうして、エリンは物質界での役割を終え、
精霊界へと帰還を果たしたのだった―――

===================================

【PLより】

〆の日記第1弾。
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さよなら、エリン
353
: 2012/02/07(Tue) 09:22:19
マルドル

カーツの願いに、エリンの顔はぱっと輝いた。
それは私も同じだ。
彼女の願いは、やはり私達のものと同じだったのだから。

エリンは消え、すぐさま戻り。

私達一人ひとりと、抱擁を交わす。

「ああ、我々はいつもあんたの気配を感じることができる」

別れを言わぬという彼女を、私もそっと抱きしめ返した。
そして――

「うお? おおおおおおお!?」

最初、大きな地震が来たのかと思った。
しかしすぐ、違うと分かる。
次に、景色が刻々と変わっていく様に目を丸くした。

ルーイの叫びを耳にしなから、私は笑いがこみ上げた。

エリンの力が開放されている!
感じたことの無いほどの強大なエントの力。
眼下にテクラルの景色を望み、
石の街が緑の都市へ変貌する様を、面白いように眺めた。

そして、別れの時が訪れる。

『元の姿』に戻った彼女へ
「また、会おうな」

挨拶をして、その背を見送る。

悲しくはない。
むしろ喜ばしいことだ。

あるべき姿にもどるのだから。

しばし、閉じた扉の果てに思いをはせ――

「で、どうやって降りる?」

遥か下のテクラルを見下ろし、途方にくれながらも
充実感に満たされ、笑った。

PL>
シメ日記一段目
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三つの願い
363
: 2012/02/07(Tue) 19:33:14
カーツェナル

 三つの願いを口にすると、エリンさんは目を輝かせ、

>「うむ! 願いは聞き届けられたぞ!!」

 力強く、元気に応え、ボクに飛び付いて来たなの。
 そして暫く、ぎゅうっと抱きしめられる。

 深緑の王の抱擁。
 深い森の優しい香り。
 
 そんな香りを残し、エリンさんは一度ボク達の元を離れた。

 魔導器・みどりのぼうしから伝わる映像は、エリンさんがエシエルさんの元へと飛んく姿。
 エリンさんが彼の枕元に立ち、額に手をかざす。
 すると、陶器のような肌には血色が戻り、まだ眠りの状態にあるものの、穏やかな笑みへ変化した。

 エシエルさんの呪いが解かれたなの。

 次の願いを叶えるべく、石化した木々の転がる土地へと移動するエリンさん。
 ひとすくいの土を手にし、サラサラと地面へと撒く。
 じわりじわりと回復して行く、抑え込まれた精霊力。

 そして、再びボク達の前に戻って来たエリンさん。
 最後の願いを前に、皆に再度礼をしたなの。

>「お主らに感謝をするというのも筋違いかもしれんが、妾はこの感情を向ける
> 適当な相手として、やはりお主らが相応しいと思わざるを得ないんじゃ」
>「じゃが、今回は別れは口にすまい。妾は去るが、いなくなるわけではないからの」

 そう言って、一人ずつ無言で抱擁をしてまわるエリンさん。

>「承知しております。木々の若葉に、草原の根に、春を寿ぐ花弁の中に、いつでも貴女が居る事を…」
>「ああ、我々はいつもあんたの気配を感じることができる」

「ありがとうなの、エリンさん。
 貴方に出会えた事を誇りに思います」

 お互いに抱きしめ合う。
 精霊使いでもあるボクには、とても素晴らしい経験になったなの。

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

 エリンさんが二つの巨樹の古株の間に立って、両の手を天に差し向けるたなの。
 手の中にあるどんぐりが、緑から金色の輝きを帯び始める。
 暖かな、優しい光。
 光の中で、手の中のどんぐりを形作る宝石は溶け始めたなの。

 楔の浸食から解放された古株は、エントの力を得て二本の巨樹へと再生を始める。
 絡まり合い、古の姿を取り戻すかのように、どんどんと再生を繰り返していく。

 二本の樹の境界に生じた小さな泡状の膜は、七色の光を放ちながら樹の再生と共に伸展していく。
 精霊界への門が、開く。

 みどりのぼうしから流れ込む映像は、街のあちこちにあった祠の変化をも伝えて来る。
 石のようなご神体が芽吹き、根を広げ、若木へと成長して行く姿。

 成長を続けていた巨樹は、広場を見下ろす程になると、成長を止めた。
 そして、精霊界への門は、新緑の王を迎える準備を整えたなの。

 深緑の王は力を取り戻し、本来の姿へと変貌していたなの。
 彼女は小さく言葉を残し、振り返ることなく精霊界へ戻ったなの。

 役目を終えた門は消え、残ったのは、成長した巨樹と芽吹いたご神木と、みどりのぼうし。
 願いは全て、聞き届けられた。 
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森と街と人と
370
: 2012/02/07(Tue) 23:23:03
ミユ

街の脅威は消え去りました。
エリンさんの力により本来のエントの力で、みんながまとめあげた3つの願いをかなえ、
それから開いた異界の門を通って、本来の済むべき場所である植物の精霊界へ戻っていきました。

本来、精霊は精霊界に存在するもの。
精霊王ぐらいの格ならば、なおさらのことです。
精霊は、こちらの世界では必要最小限度にとどめておくのが本来の姿ではあります。
それでも、エリンさんとエシエルさんの仲の良さを見ると、二人が結びついている感じもします。

のこったアイテムのうち、どんぐりに関しては、
やはりエリンさんに思入れのあるエシエルさんが持つべきだとは思いますが、
最終的には、街のみんなで話し合うことが必要でしょう。

「巨木と街の人たちに大地の恵みと幸があらんことを。」

PL:
メインストーリーは終わりましたね。
おつかれさまです。
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取引
338
: 2012/02/06(Mon) 01:04:45
魔音@GM

 焚き火とタオル、溶き卵の入った暖かな鶏ガラのスープとパンが、
一行を迎えた。希望者には清潔な着換えが渡される。
 瞬く間に生じた巨樹の下で、取引が行われることになったのだった。
「水草亭のノルンです。お見知りおきを」
 簡単な食事番を兼ねて、ギルドマスターの代理として取引に現れたのは、
ノルンと名乗る、グラスランナーの女性だった。彼女はエシエルの乳母
であることが一行には知らされている。
「当代に頼まれてね。アタシが来たんだよ」
 エシエルの頭をくしゃっとなで、壮年のグラスランナーが皆に挨拶をした。
 一行とは先ほど会ったところだったが、今はエプロン姿ではなく、
仕立ての良い濃紺のワンピースに、黒い毛皮のコートを羽織って登場した。
 髪も高く結い上げ、赤い宝石のついた簪でまとめている。ちょっと
した貴婦人といった様子に、つい先程のおかみの姿とは印象が変わる。

    ◇

 取引は、期せずして塔や城壁の制圧戦に参加したばかりの貴族や兵士、
神官たちの見守る中で行われた。
 さきほどベゼル家の別邸で会った者たちに、干し椎茸のような老婆が
加わっている。大地母神の聖印を額につけていることから、彼女がカランシルの
大神官であることがわかる。
 シナモンと密偵たち、およびシーフギルドが中心となったメンバーが
無事救出に成功したらしい。
 塔、および城壁に立て籠もっていた心を留めた者たちは、彼女のもたらした
奇蹟に投降し、ある者はまた癒やされた。

    ◇

 伝令に走り回っていた幸運神神官の<ガード・トレーディング>の祝詞に
よって場が清められ、取引は始まった。
 芝居めいたやりとは、交換の儀式なのだろう。

「案内人のハルンは、善なる心をもって真の持ち主を探す者なり」
 おそらく母親のノルンが持ってきたものだろう。いつの間に着替えたか、
ふわっとした可愛らしいレースのついた、ピンク色のドレスを纏っている。
「代理人のジルは、議長の勲章を受け取る者なり。
 我が主は善なる心を黄金で購う徳を持つが故に、案内人たるハルンに
これを渡す」
 銀色の鎖帷子は、戦いの後もなお輝きを失わずにいる。彼女は袋詰めの
金貨を示し、仲介人に差し出した。
「仲介者たるアシナートのシュタールは、両者に偽りなきことを認める。
 見届け人よ、この儀に同意するか? 異議なきときは沈黙をもって
応じるべし」
 篝火の炎の色を宿した白いコートが、一同に向き直る。
 薪の爆ぜる音が数呼吸の間場を支配し、
「取引は成った」シュタールの宣言により、儀式は終わった。


 取引が終わった後は、街の広場に篝火が盛大に焚かれ、誰もに
振る舞われる宴会となった。
 争いが街を呑み込み、その混乱の余波は残っていたが、食料庫から
持ち出されたご馳走で、今は一区切りをつけるのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔音@GM
 この日の夜のうちに、取引は成立しました。
 これでシナリオのミッションは終了です。
 あとは、議長の勲章を引き継ぐ冬の祭りがあって、GM書き込みは
締めとします。
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見届ける
345
: 2012/02/06(Mon) 12:29:32
ルーイ


「はー、生き返るなー」


半日くらい何も食べてなかっただけなのに、もう腹の中はからっからだった。
ほっこりとしたスープの温かさが身体に染みる。


用意された着替えをありがたくまとって、オレたちは取引の場に立った。
もう、形式的なものにすぎないけれど、オレたち魔法使いは、形式や儀式がとても大切なものであることを知っている。
形式に捉われない者は、魔術を行使することなんてできないから。


黙って立ってればいい。
簡単なお仕事。


ジルさんも、ハルンも、アルフレーデも、厳かでカッコよかった。
オレたちは、ただ黙って頷いていただけだ。


思った以上に立会人が多いのは成り行き。
むしろ、地元の人たちが見守ることができたのは、良かったと思う。


「ねえアルフレーデ。
 キミはこれからどうするの?」


図らずも、エシエルさんの兄妹であることが判明したんだ。
今まで通りにするんだろうけど、今まで通りってわけにもいかないんじゃないか。
祭りの日まで逗留するなら、と言おうとして、それは彼女を縛る言葉だと思ってやめた。
出会ったときのように、風みたいに気ままにしている方が彼女らしい。


「オレは、祭りに参加させてもらったら、みんなと一緒にオランに帰るよ。
 カーツと報告書を作らなきゃいけないんだ。
 オランの図書室に、ゴーレムみたいな友達が出来てね――」


他愛もない話をする。
他愛もない話が出来ることは、とても幸せなことなんだ。
忘れがちだけど、忘れちゃいけないことだ。


エシエルさんが無事で、本当に良かった。




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立ち会う。
350
: 2012/02/06(Mon) 22:38:07
ガラフ

地下水路で水浸しになり、不死者と戦った反動か、
外へ出ると心身の疲労が重くのしかかってきた。
清潔な着替えを有り難く頂戴し、温かい食事を振舞われる。

「旨い」

自分が生きている事を実感する瞬間だ…

**********************************

>「水草亭のノルンです。お見知りおきを」

取り引きの立会いに、何と水草亭の女将が現れた。
店での姿とは違い、今は女性らしい正装に身を包んでいる。

>「当代に頼まれてね。アタシが来たんだよ」

聞けば、何と彼女は先代の盗賊ギルドの長であったという。
思い返せば、あの口の軽い草原妖精達を見事に乗せた手腕…納得だ。

「先刻の礼を申し上げねば…と思っておりました。
 お陰様で万事丸く収まりそうです」

苦笑しながら、ノルンの感謝の意を述べ、頭を下げた。

***********************************

取り引きはつつがなく進行していく。
自分達は、ただ立ち会うだけ。
一応、周囲を警戒しておくが、自分を含め、
場全体が何処か気抜けしていまうのは仕方無い。

「やれやれ、何とも長い一日じゃったのう…」

ついつい、こんな一言をぼやいてしまう。
この後どうやら祝賀会があるようだが、今は到底参加する気分では無い。

一人、静かに酒が呑みたい。

===================================

【PLより】

〆の日記第2弾。
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本来の仕事
354
: 2012/02/07(Tue) 09:39:54
マルドル

最後の仕事の前に、我々に用意されたものは
暖かな食事と、焚き火と、清潔な着替え。
濡れて、冷え切った身体には、これほどありがたい物はない。

水路を抜け、地下で戦い、地上に出て。
しかも水をしこたま被ったんだ、こんな多忙な日は無かったぞ。

それでも、全てがきれいに終わったんだ。
よしとしよう。



『取引』は、生えたばかりの巨木の下で行われることとなった。
ギルドマスター代理で現れたのは、水草亭の女将。
聞けば盗賊ギルドの先代マスターだとか、
どうりで堂の入った立ち居振る舞いだったわけだ。

それよりももっと驚いたことがある。

「…なあガラフ。ハルンって女だったんだなあ…」

思わず、ドワーフに耳打ちしてしまった。



邪神の僕に占領されていたマーファ神殿から、大神官殿が救出され。
投降と開放によって、無駄な血が流されずにすんだことも、喜ぶべきだろう。

「それにしても連中は、最終的に何を目的としてたんだろうな」

今となっては終わった話だか、やはりエリンの力を欲していたのだろう。



そして、我々本来の仕事が始まる。
『取引』の立会い――それは、本当に簡単な仕事だったのだが。

>「やれやれ、何とも長い一日じゃったのう…」

ガラフのぼやきに頷いた。

ここに至るまでの、長い長い道のり。

つつがなく執り行われるだろう予定の儀式は、
今後は形式として残るだろう。
エリン無きテクラルの明日は、でも、新しく素晴らしいものになるのだから。
それを願い、彼女は精霊界へ戻ったのだから。
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取引の儀式
364
: 2012/02/07(Tue) 19:34:03
カーツェナル

 巨樹を下りたボク達を迎えてくれたのは、ジルさんの戦車に乗って現れたエシエルさん。

 焚き火とタオル、溶き卵の入った暖かな鶏ガラのスープとパンが迎えてくれたなの。
 用意された清潔な衣に着替え、地下水路で冷えた身体を温める。
 取引は、すぐ始められるようだったなの。

 取引はたくさんの兵士や神官さん達、ベゼル家に集まっていた人達と、
 救出されたカランシルの大神官様が見守る中、
 幸運神神官の祝詞によって場が清められ、取引は始まった。

 厳かに始まり、ボク達は立会人としての仕事をする。
 取引の儀式はつつがなく執り行われ、終了したなの。

「良かった、これでボク達のお仕事も終わったね。
 後はオランに戻って報告書を作るだけなの」

 テクラルのご神体の場所を記した地図。
 セリトの作った巨人の賭場の正確な地図。

 この二つも報告書に添えようっと。
 きっと、イーバルさんも喜んでくれる。

 それに、魔晶石ひとつも使わなかった。
 皆無事で、良かったなの。
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すべての始まりと終わり
371
: 2012/02/07(Tue) 23:46:36
ミユ

今回は、この取引の護衛が本来最初の依頼でしたね。
そういう意味では、始まりでもありますし、
騒動の後に取引が行われるという意味では、終わりでもあります。

さまざまな人が見守る中、大神官さまの声とともに儀式が始まりました。
エシエルさんの代理人であるジルさんと、向こうの代表である人と仲介人で
手順のとおり進めて終了です。

そういえば、丘の上の周辺に仕掛けた罠は、結局必要ありませんでしたね。
立坑の場所にに関しては、安全のためにそのまま封印しておくのがいいでしょうが、
他の場所の罠は必要がなくなりましたので、セリト先生と共同で、後で解除しておかなければなりませんね。
翌日、日が昇って明るくなってから向かうことにします。

PL:
結局、トラップは、必要なかったですねw
立坑の封印はそのままでもいいですが、他は翌朝、セリトさんと一緒に解除しておきます。
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報酬
339
: 2012/02/06(Mon) 02:20:25
魔音@GM

 翌日、改めて礼と報酬の支払いに、エシエルが一同の前に現れる。
「みなさんには、本当にありがとうございました。感謝の言葉も
ありません」
 深々と礼をする。
 まだ立つことは出来ないが、感覚は戻りつつあるらしい。

「皆さんには約束の報酬に加え、5つの選択肢の中から追加報酬を
受け取って頂きたいと思っております。なにとぞお受け頂きますよう
お願い致します」
 そうして5つの報酬が提示される。一行はこの中から一つを選択し、
受け取ることになる。

「あなた方とは長いつきあいになると嬉しいです」
 エシエルは言って、一人一人に握手と抱擁を求める。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔音@GM
 以下、報酬に関するやりとりは、この記事の下に返信してください。

 経験点は以下の通り配布します。1ゾロ回数については、自己申告で
お願いします(確か、ガラフの2回のみだったと思うんですけれど)。

シナモン:1100
ミユ:1500
ルーイ:1800
マルドル:1500+100@PT
カーツ:1500+100@PT
ガラフ:1500+100@PT+20(1ゾロ2回)
セリト:1100+100@PT


 報酬には、残額の金貨10枚(500ガメル)が支払われます。
 +役に立つかどうか判りませんが、ベゼル家、エシエル、エリンへの
コネ。が発生します(シナモンは、テクラルだと幹部扱いになりますね)。

 また、追加報酬として以下の5つの選択肢を提示されます。
 何を受け取るか、こちらの記事に返答する形で申告をして下さいませ。

1.魔法サービス
 ●任意の魔法サービスを1度だけ受ける機会を与えられ、これを
  半額で受けることが出来る紹介状が、ベゼル家から発行されます。
 ※魔音以外のGMの方のセッションでは、許可されない可能性が
  あります。参加時に、行使が可能かどうかを事前に確認
  するようにしてくださいませ。
 ※現金化できないものとします。保持に際しては、その旨を
  明記してくださいませ。

2.5点魔晶石1つ
 ●5点の精神点が蓄えられた魔晶石です。
 ※現金化できないものとします。保持に際しては、その旨を
  明記してくださいませ。

3.高品質の武器・防具を1点購入する機会
 ●最高品質を含めた武具の購入機会が、ただちに与えられます。
 ●このとき、1000ガメルまでの金額を、ベゼル家が支払います(差額は
  支払われませんw)
 ●有効期限は、本セッション終了までです。
 ※この機会で入手した武具は、現金化できないものとします。
  保持に際しては、その旨明記してくださいませ。

4.軍馬
 ●ぶひりん。一頭まるっとどぞんですw
 ※現金化できないものとします。保持に際しては、その旨を
  明記してくださいませ。

5.追加報酬として金貨20枚(1000ガメル)
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無事を祝う
346
: 2012/02/06(Mon) 12:41:47
ルーイ

「良かった、ご無事で何よりです、エシエルさん」


エシエルさんは元気とまではいかないまでも、あの倒れた時に比べれば、まったく癒されている。
昨日の今日だもんな。


「オレ、軍馬をいただきます。
 ロイドのいい友達になるといいな」


追加の報酬を提示されて、遠慮なくもらうことにする。
魔晶石なんて今のオレにはもったいないもんな。
馬は扱いも慣れてるから、ちょうどいい。
維持が大変だ、頑張って稼がないと。



―――あとで、軍馬のオランでの相場を聞いて、卒倒しそうになったけどね。




「また来ます。
 みどりのまちになったテクラルがどう変わっていくのか、とても楽しみです」




------------------
PLより:

過分な評価をいただきありがとうございます。
取り急ぎ報酬を確定させてしまおうと思います。

経験点1800点
報酬1000ガメルと軍馬を頂戴します。
あ、あと模造品のみどりのぼうしもですね!

軍馬はライトと名付けたいと思います。
あとは荷馬とロバも手に入れて、ホースマスター・ルーイの名をほしいままにするのだ・・・・!


PCのみなさんとの絡みは、祭りスレッドでやる予定っ
タイトル
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申し出る。
351
: 2012/02/06(Mon) 23:36:42
ガラフ

取り引きを無事終えた翌日、エシエルから呼び出された。
まだ立つ事は難しいようだが、快復はしているようだ。喜ばしい。

>「みなさんには、本当にありがとうございました。
> 感謝の言葉もありません」

「エシエル氏よ。頭をお上げくだされ。
 ワシ達は依頼を果たしただけの事」

才気溢れる若者に、声を掛ける。

>「皆さんには約束の報酬に加え、5つの選択肢の中から追加報酬を
> 受け取って頂きたいと思っております。なにとぞお受け頂きますよう
> お願い致します」

エシエルは、追加報酬の話を提示した。

「何と有り難い申し出…遠慮無く頂戴致しますぞ」

エシエルに希望を述べる。
より強い武具を。

>「あなた方とは長いつきあいになると嬉しいです」

「ワシもそう思っております。
 このテクラル市は、ワシにとって今後も縁深い土地となるでしょう。
 エシエル氏よ、御身に星王のご加護があらん事を」

握手と抱擁に力強く応える。

===================================

【PLより】

〆の日記第3弾。

追加報酬の提示有り難く頂戴致します!
ガラフは最高品質モール(必要筋力21/本来筋力26)を希望します。
1000ガメルまでは持ってくれるという事なので、
120ガメルの支払いで宜しいでしょうか?
それと…もし出来るならば、設定を付与して頂きたいのですが!

報酬として、

○経験点1620点
○現金 1000ガメル
○“みどりのぼうし”の複製
○モール(必要筋力21/本来筋力26)

確かに頂戴致します!
タイトル
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受諾
355
: 2012/02/07(Tue) 09:53:45
マルドル

>「みなさんには、本当にありがとうございました。感謝の言葉もありません」

翌日、エシエルから直々に礼を述べられる。

「良かったよ、呪いが解けて」

長くベゼル家を縛っていた因縁から開放され、
この家も新たな歴史を刻むのだろう。

「これからが大変だろうけどな」

巨木が遠慮なくにょきにょき生えた街は
メンテナンスが大変だろうけどなあ。
だけど、その先には明るい未来が予見でき、心配はひとかけらもしていない。

長い付き合いになると嬉しい、とのエシエルへ

「そうだな、何かあったらまた呼んでくれ」

笑いかけて、その手を強く握り返す。

そして追加報酬に関して――

「では、軍馬をいただこう。
 この街へ来る際、馬喰のおっさんに持ちかけられてな」

軍馬を買わないかと持ちかけられたことを思い出して、
その約束を果たそうと思う。


PL>
過分な報酬、ありがとうございます。
マルドルの報酬は下記の通りとさせていただきます

経験点:1500+100@PT
報酬:1000ガメル
追加報酬:軍馬(現金化不可)
みどりのぼうしの複製
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追加報酬のお話
365
: 2012/02/07(Tue) 19:35:24
カーツェナル

>「みなさんには、本当にありがとうございました。感謝の言葉もありません」

 深々と礼をするエシエルさん。
 まだ立つことは出来ないみたいだけど、感覚は戻りつつあるんだって。

>「良かった、ご無事で何よりです、エシエルさん」
>「良かったよ、呪いが解けて」

 時間はたっぷりあるんだし、ゆっくり休養して欲しいなの。
 もう、石化の呪いからはすっかりと解放されたのだから。

>「皆さんには約束の報酬に加え、5つの選択肢の中から追加報酬を受け取って頂きたいと思っております。
> なにとぞお受け頂きますようお願い致します」

 そうして、追加報酬が提示されたなの。
 どれにしようかなあ・・ 

>「あなた方とは長いつきあいになると嬉しいです」

 エシエルさんはそうは言って、一人一人に握手と抱擁を求めたなの。

>「また来ます。
> みどりのまちになったテクラルがどう変わっていくのか、とても楽しみです」

 石の街から、緑の街へと変貌を遂げたテクラル市。

「エリンさんといつも一緒なのを感じられる街になったなの」

 周りを見渡し、緑の息吹を感じる。
 全ての呪いから解き放たれた街。

 本来の姿を取り戻しつつあるテクラル市。
 また訪れる機会があればいいな。

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

PL:報酬の件。
   経験点:1500+100@PT
   報酬:1000ガメル
   みどりのぼうしの複製

   追加報酬に関して少し悩んでます。
   @で魔音さんに相談しようかなー。
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今回の依頼の報酬は
372
: 2012/02/08(Wed) 00:03:30
ミユ

翌日、朝にセリトさんとトラップの解除を済ませた後、
街のエシエルさんの館へ戻ったとき、
ちょうど、今回の報酬の件について話が進んでいました。

いろいろな出来事はありましたが、依頼もエシエルさんも無事でなによりです。
エシエルさんに関しては、今までできなかった分を、これから取り戻していくことでしょう。

追加の報酬に関しては、いろいろ考えてみましたが、
「馬は特に必要ありませんし、武器に関してはすでに魔法武器があります。
サービスに関しても今は特に必要ありませんし、魔晶石も今は特に必要がないです。
ということで、1000ガメルの方でお願いします。」

PL:
経験値 1500点
報酬 500+1000=1500ガメル
みどりのぼうしの複製
受け取りました。
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冬越の祭り
340
: 2012/02/06(Mon) 02:34:20
魔音@GM

 一行は、ベゼル家から引き継ぎの祭りの日まで逗留することを
求められる。無論、その間は華美になりすぎない程度だがもてなされ、
滞在費の心配をする必要はない。オランに戻る者についても、
乗合馬車を手配され、快適な旅で帰還出来るよう取りはからわれている。

 祭りの日を迎えた一行は、テクラルの街の至る所で営業する出し物を
目にすることが出来ただろう。街の中には、主に屋台が出店され、
城壁外では運動を要する出し物が見られた。中でも、巨大テントの中で
披露されるサーカスは、目を引いたかも知れない。
 テクラル市のつながりとして、遠くはミラルゴ、オラン沿岸部からも
訪れた人々がいた。その所為か、屋台に並ぶ食品も、干物を中心とした
海産物から山のものまで様々なものが並ぶ。

 昼過ぎには、メインイベントである議長の勲章の引き継ぎが行われた。
 この騒動の中で、三家のうちフロネア家が議長職を辞退した為、
繰り上げでグリンデール家が次期議長に就任することが決まった。
 また、今回の事件を期に、議長職のあり方については、今後持ち
回り制から変わることだろう。とのことだった。

 エルフたちの一行がどんぐりの宝石を渡し、議長の勲章にとりつける
という儀式は、こうしてつつがなく終わった。どんぐりの宝石は模造品
だったが、この習わしは続けていくようだ。

 これに加え、今回は、引き続いて特別な勲章が用意された。
 議長の勲章よりも二回りほど小さく、実際のドングリと同じ大きさの
模造品となるが、銀製の“ぼうし”に、陽に緑、灯に赤と輝く宝石で造られた
“どんぐり”が嵌め込まれた勲章を、新議長が最初の仕事として、
冒険者たちに授与することになった。と宣言する。
 これは、群衆たちによって歓声と共に迎えられ、ひとりひとりが
テクラル市の名誉市民の称号と共に贈られたのだった。


 こうして辺境の街に、冒険者たちの名が刻まれた。彼らはどんぐりの
英雄としてテクラルの街に伝わり、彼らの習慣にならって物語の主人公
として、次の世代へと受け継がれていくはずだ。
 それは、どのような形になるだろうか?
 ともあれ、これはその原物語であり、日記帳の走り書きとして、
あるいは学院の報告書として、ひとまず記録に納められることにる。

<みどりのぼうし・完>

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔音@GM
 フレーバーアイテムの巻です。シーフまわりの方々には、表だって
渡されず、ひそかに手渡されることになるでしょうか。

 これで、メインのGM書き込みは終わりです(ノ*゚ー゚)ノ
 あとは、感想など、ぼちぼちと上げていく予定です。今週中に
なるかと思いますが、ご参照ください。
 みなさま、おつかれさまでした。
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儀式とどんぐりとエントの願い
356
: 2012/02/07(Tue) 10:10:36
マルドル

引継ぎの祭りの日まで、ベゼル家の好意に甘えさせてもらった。
その間、街中を散策したり、街の周辺で馬を走らせたり。
それは一人だったり、仲間に声をかけて出かけたり。
骨休めにちょうど良い日々を送った。

祭りの日。

賑やかな出店を冷やかしつつも、引継ぎの儀式へと向かう。
「こんな山の中で、オラン特製ニシンの干物を喰えるとはなあ」
もぐもぐ齧りながら、仲間と共に人ごみを行く。

儀式が始まって、ひととおりの成り行きを見守り。
そして我々が壇上へ呼ばれた。

『みどりのぼうし』。

模造品ではあったが、彼らの喜びを表すに充分な宝だった。

そのまま越冬の祭りの中へ飛び込む。
私達の名は、きっとこの地で言い継がれるのだろう。
それを考えると、少々面映い。

照れ隠しにレベックを取り出して
「さあ、みんな踊ってくれよ!」

陽気な旋律を奏で、祭りに華を添える。
歌はもちろん、あのエントのことだ。

エリン、あんたのことも、みんな忘れない。
歌に刻んで、残して行こう。
あんたも、私達の仲間なのだからな。


PL>
シメ日記投了です!
みなさまお疲れ様でした!
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祭りの日
361
: 2012/02/07(Tue) 14:39:26
ルーイ


「いいぞ、ライト。
 お前は賢いな」


譲ってもらった軍馬は茶褐色の、スマートなやつだった。
オレの体格に合わせてくれたのかもしれない。
郊外を、自己紹介と慣らし、ロイドとの顔合わせ、散歩、いろいろ兼ねて歩く。
マルドルさんも―――もちろん、ロイドも一緒だ。
まさか、草原を出てから自分の馬を持つことになるとは思わなかった。

軍用の馬だけあって、訓練がしっかりしてる。
子供のころから知ってるロイドが兄弟なら、このライトはいい友人ってところだ。


「あはは、ロイド。
 仲良くしろよ。
 ―――よし、ライト。
 少し駆けてみよう!」


横腹を軽く足で叩く。
走る。
うん、軽快だ!


* * *


「みんな、せっかくだから祭りの見物に行こうよ」

みんなを引っ張りだして、街に出る。
広場はとても賑わっていた。
串焼き肉を頬張りながら、祭りの中を歩く。
最初にカーツと歩いた時とは、やっぱり景色が違う。
緑がいきなり増えたんだもんな。
アルフレーデと会ったのも、ここだった。

城壁の外でサーカスをやってるらしい。
軽業師っていうんだよな。
オレは見たことがないんだ。


* * *


はー、すっげえなぁ。
なんであんな動きが出来るんだろ。

サーカスの天幕から出てきたら、水で喉をうるおして、イカの焼いたのを買う。

「シナモンならあれくらいできんのかな。
 どう考えても人間技じゃないよね、あれ」

何事も、極めた人たちはすごいってことだ。
もぐもぐ。


* * *


次の議長は、フレデリカさんだ。
勲章の引き継ぎが無事終わる。
やがて、エシエルさんと結婚して、ふたつの家がひとつになる日が来るんだろう。
もうひとつの家はどうなるのかな。
結婚。家と家が結び付く、大切な儀式。
オレもいつか、家族を持つんだろうか。


「きれいですね、これ」

胸に付けられたみどりのぼうしの模造品は、光によって色を変える宝石だ。
なんか、誇らしいぞ。


マルドルさんが、楽器を弾き出した。
楽しい音楽。

オレも踊ろう。
草原ではよく踊っていた。
下手だったけどね。
楽器と歌と踊りは、唯一の娯楽だった。

みんなの輪の中で、相手を変えながらくるくる踊る。
見せるための踊りじゃないからね、見た目は置いといて。
自分が楽しむための踊りなんだから、さ。



タイトル
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お祭り
366
: 2012/02/07(Tue) 19:35:55
カーツェナル

 引継ぎの祭りの日。
 テクラルの至る所で催し物が出ている。
 主に屋台が出店され、巨大テントの中で披露されるサーカスも来ていたなの。

 テクラル市のつながりとして、遠くはミラルゴ、オラン沿岸部からも訪れた人々。
 屋台に並ぶ食品も、干物を中心とした海産物から山のものまで様々なものだったなの。

 腸詰の炙り焼きや鶏肉と茸の串焼きを頬張り、お腹を満たす。
 
 そういやマルドルとルーイは軍馬を選んだみたいだったなの。
 うーん・・ボクはどうしようかなあ・・
 軍馬も魅力なんだけれども・・

 昼過ぎには、メインイベントである議長の勲章の引き継ぎ。
 エルフさん達がどんぐりの宝石を渡し、議長の勲章にとりつけるという儀式。
 どんぐりの宝石は模造品のようだったけれど、この習わしは続けていくみたい。

 その後、銀製の“ぼうし”に、陽に緑、灯に赤と輝く宝石・・恐らく、アレキサンドライト、で造られた
 “どんぐり”が嵌め込まれた勲章と、テクラル市の名誉市民の称号を、ボク達は授与されたなの。

「綺麗・・ボク、この宝石大好きなの。
 色が変わって、とても不思議な石」

 テクラルはアレキサンドライトも採れるのかな?
 何か装飾品とかないか見てみようかな?

>「さあ、みんな踊ってくれよ!」

 レベックを取り出して陽気な旋律を奏で始めるマルドル。
 深緑の王の歌。
 それに合わせ、ルーイも踊ってる。

「ふふ、ルーイ上手!」

 陽の光の元で緑に輝くどんぐりと、銀色のぼうし。
 皆怪我せずに、無事で良かったなの。

――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-――-*-―――

PL:皆様お疲れ様でした!
   どんぐりはアレキサンドライトじゃないかと思ってますがどうでしょー。
   もしそうなら、お祭りでアレキサンドライトの指輪とかブレスレット売ってないですか?
   お値段次第な部分はありますがっ
タイトル
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祭りと表彰とどんぐりと
373
: 2012/02/08(Wed) 00:43:27
ミユ

祭りの中、勲章の引き継ぎの儀式が行われ、
続いて、今回の事件の解決の功労者としての表彰が行われた。
その中にはわたしたちも含まれていた。
先のエリンさんの力を宿していたどんぐりと同じ形の模造品ですが、
これをみると、エリンさんの想いや力が身近にいるようで、
気持ちが落ち着き、勇気がわきそうです。

一方、祭りはたけなわで、あちらこちら所狭しとにぎわっています。
先の事件が解決したこともあって、皆さんの笑顔がいつも以上にあります。

祭りが終わる日までは、このテクラル市に滞在しますが、
それが終われば、またいつもの日常に戻ります。
それでも、ここで起きた出来事は、このどんぐりの話をともに人々に伝わっていくでしょう。

PL:
すべて終了です。
みなさまお疲れ様でした。
タイトル
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過去に想いを馳せる。
382
: 2012/02/12(Sun) 01:07:27
ガラフ

引継ぎの祭りが終わるまでの間、ベゼル家での逗留を求められる。
厚い待遇にむず痒いものを覚えつつも、礼を受け取るのも時には必要と思い、
厚意に甘える事にする。

無論、何もしない訳では無い。
動ける時間を使ってラーダ神殿の奉仕を手伝い、
賢者ジェイドと信仰について熱く語り合った。
体調が完全に快復はしていなかったが、
バルターク当主と僅かながらに謁見の時間を作って貰ったりもした。
充実した時間だった。

引継ぎの祭りの当日。
儀式が滞りなく終了した後で、模造品の勲章が手渡される。
結果としてテクラル市を救った、謝意の現れなのだと。
思いも寄らず壇上に上がる羽目になり、
緊張の余り顔から火を吹きそうになったが。

「こ、これは勿体無い物を頂きました。
 ワシにとって、テクラル市は今後も大切な場所となるでしょう。
 勲章、有り難く頂戴致しますぞ」

この台詞は、何とか噛まずに最後まで言う事が出来た。

***********************************

街は歌えや騒げの大騒ぎだ。
だが、今回はそんな気にはなれなかった。

仇敵、吸血鬼。
殺されていった、かつての仲間。

夜の神殿の礼拝堂で、ジュリアンのリュートを鳴らす。
手元には、酒。

“月は絶えず姿を変える
 人も絶えず姿を変える
 だけど、この心は変わらない
 この想いは変えられない―――”

“忘れらない事がある
 忘れられない人が居る
 忘れたくないものがある
 眼を閉ざせば、今も其処に―――”

天窓から漏れてくる月の光は温かく、柔らかい。
どうしてだろう。
涙が、止まらない。

===================================

【PLより】

大変遅くなり申し訳ありませんでした!
最後の投稿、毎度恒例の歌付きです。
タイトル
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清浄と正常と聖女
387
: 2012/02/13(Mon) 06:20:32
魔音@GM

 誰かが言った。彼女は聖女の燻製だと。
 大神官アクレジアが聖女の名を冠するようになって、およそ百年の年月が流れている。
 アクレジアは、今回のテクラルでの事件に巻き込まれつつも、事態の収束に尽力した人間の一人だ。修道院で半ば引退していたが、神殿の再興の為に現役に復帰した。
 この日も彼女は夜明けと共に起き出し、カランシル・マーファ神殿の鐘楼に昇って、力強い鐘の音を響き渡らせるのだった。

    ◇

「これから、か。……それから、は?
 ──んーん。こっちの話。
 それじゃ、お祭りまでは一緒だね。オランほどじゃないけど、結構見るところあるのよ。一週間遊べるくらいには」
 のぞき込んだルーイの目から、アルフレーデはテクラル市街へと目を転じた。

「このあとは、あたしは北のバイカル。今回の件でもちょっとお世話になったし、エシエルはまだ遠出が出来ないから、あたしはその代理。顧客新規開拓も兼ねてるんだけどね」 彼女の商売にも影響はあるようだったが、それはそれとして、たくましく受け入れている様子だった。
「でも、そのうちオランに顔を出すつもり。案内してくれる?」

「なにそれ、オランらしい子っ。あたしも会ってみたいな。
 フフ、そうそう。うちの職人にも、そういう子がいるのよ。こっちのは年取ってるけど、おかしいの──」 
 尽きることのない小さな会話が、冒険者生活の幕間に交わされた。

    ◇

 取引の晩。
「マルドル、つかぬ事を聞くがいいだろうか?」
 レアルデを筆頭とするファリス巡礼団の女たちが、マルドルが取り囲む。
「その鎧は、どこで?」
 デザインに惹かれた彼女たちに、そんな質問を受ける一幕があった。

    ◇

 取引のあった晩の翌朝、丘の罠の解除に出向くと、いかつい青年たちが鎌を片手に草刈りをしていた。
「姐さん、おつかれさまです!」
 ミユに気づくと、彼らは整列し、挨拶をしてくる。駆け寄ってくる者の中には、罠にかかって盛大に転ぶ者も居るが、お構いなしと行った様子だ。
「男磨かせてもらってます!」どうやら罠を解除しているらしい。
 巨人の賭場ではそんな風に、ギルドの構成員たちを中心にした、数十人の若者たちが動員された風景を見ることが出来たことだろう。

    ◇

「楽しみにしててね。うちの職人がきっと腕によりをかけて仕上げてくるだろうから」
 シュタールの言葉は現実の形をとって、オランのガラフの手元に届けられた。
 アシナート商会の、泳ぐロバの紋章の入った包装を解くと、丁寧に梱包されたモールが現れる。
 “カレドゥイネ”即ち頑固坊と名付けられたこのモールは、打突部が、髭面をした古代の武人の頭像になっていて、柄にはこのモールの銘の他に、“頭を使え”と下位古代語で彫られている。
 このモールのデザインは、古代王国崩壊後に誕生した竜退治の英雄の一人、ドワーフの族長カレッド頑固王の伝説にちなんだものであることは間違いないだろう。彼は、固い鱗に阻まれ、手持ちの武器を全て破壊された後もあきらめず、頭突きで竜を仕留めたとされている。
 無論それは作り話であろうが、不屈の根性とラーダ神から授かった知恵で困難を乗り越え、目的を達成した彼の人生を表していることは間違いない。

    ◇

 軍馬を報酬として得た三人は、慣らしも兼ねてテクラル市の郊外に出かける。
 馬たちは機嫌良くそれぞれの指示を受け、軍馬らしい重量感を伴った蹄の音を立てて進んでいく。
 あるところから、三人はその蹄の音に違和感を覚えた。軍馬自体の足取りは軽く、一行の違和感に反比例して、彼らの調子は上向きつつある。
 その違和感の原因は、やがて明らかになった。三頭の馬蹄の音に混じって、もう一頭分の音が加わっていた為だった。
 一行の騎行に加わっていたのは、ケンタウロスの女性だった。年齢は不詳で、若くもあり年経ているようにも見えた。灰色の堂々とした体躯に、原色の色とりどりの刺繍が施された上着を纏っていて、魔術師の杖と同じ働きをする、装飾された投げ槍を携えていた。
 軍馬たちの挨拶を受けたケンタウロスは、三人に目礼をし、暫くの間無言で騎行に加わっていた。
 馬蹄の響きが支配する、奇妙な騎行だった。
 やがて、彼女は口を開く。
「このイルクリウスから、アンカラッド族を代表して礼を。この子たちは、せめてもの感謝の証です」
 低い風鳴りのような共通語の言葉が、一行の耳に沁みる。
「馬の鼻の向くままに散策をしつつ、あなた方とは、どこかで一度言葉を交わしておきたいと思っていました」
 そんなことがあった。

    ◇

 祭りの中、背のひょろ高い色白の男とすれたちがった。彼は一行の姿に気づくと、躓きながらも踏みとどまり、辿々しい足運びと口調で声をかけてきた。
「お、お会いできて、よ、よかったです。わわ、わわわ、私は、い、イヨギーテと、ももっ、も、申します」
生命力に欠ける、青白い細面に浮かんだ細い目を精一杯見開き、猫背を必死に伸ばして挨拶をする姿は、その必死さに好感を持てなくはない。
 彼は、助けられた礼を改めてしたい旨を告げ、色々あった所為か、風邪を引いて寝込んでいたことから顔を出せずじまいだった無礼を謝罪する。
 そして、滞在中に、是非ベゼル本家に来てくれるようにと願い、その場を辞した。

    ◇

「土産だ。ジョージに食わせてやれ」
 ギルドマスターがセリトに持たせたのは、コカトリスの酒漬けと称する何かだった。
 実際には鶏肉だろうと思われるが、その真偽は定かではない。

   ◆◇◆

 祭りが終わり、オランへの馬車が出発する日の朝早く。
 街の有力者たちが、テクラルの巨樹の下、一同に会した。無論、冒険者たちを見送る為だった。
 広場では、大勢の市民たちも集まっていて、一行の馬車はぐるりと一周し、彼らと別れを告げることになった。

 エシエルとアルフレーデ、ジルもその場に居なかったが、来た時とは逆の道を辿る御者に、一同はすぐに察することになる。
 案の定、ジルの戦車に乗ったエシエルとアルフレーデが、石の森にさしかかったところで合流する。
 かつて土の精霊が支配していたこの土地には、見た目は何も変わっていないが、様々な精霊力が戻ってきている。

「あなた方への感謝を言葉にするのは、至難の業です。もはや何を口にしても空虚な言葉にしかならないので、お礼は敢えて致しませんよ」
 エシエルは笑って一行に改めて礼をし、別れを告げる。この短い間にも、彼の肉体は劇的な変化をとげ、今やつかまり立ちができるほどにまで回復している。
「ではここで暫しお別れです。私の肉体だけでなく、魂までも救ってくれたあなた方には、また会えると信じています」
「なによ、エシエルは湿っぽいな」
 シュタールが横槍を入れるが、
「涙ぐんだあなたが言うのは、甚だ説得力に欠けますね」
 ツッコミを返され、あたふたと目尻をぬぐうが、おいつかない。
「みんな、元気でね。こうして不毛の森にまで種をまいておいて、それっきりなんてことは絶対に許さないんだから」
 背を向け、指さすところには、微かな緑色の小さな息吹が感じられた。

 一行を乗せた馬車はこうしてテクラルを離れたのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔音@GMより
 そんなこともありました〜オラン帰還の日まで、です。
 テッピンさんちのガラフ宛てモールは、後日届けられたとかそういうのです。

 このあとなるべくはやめにログをまとめる予定です。またURLなどは、募集板とか共有BBSの頭にでも貼り付けておく予定です。

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