タイトル | : 7-3-1:夏至祭と霧の英雄 |
投稿日 | : 2015/07/12(Sun) 16:43:12 |
投稿者 | : 魔音@GM |
参照先 | : |
冒険者たち一行は、夏至の祭りまで、オゴフの街に逗留することを領主からも求められた(引き上げるということであれば、馬車が用意された)。
温泉の宿の主たちからも、ぜひお越し下さいと声がかかったものだった。
下級のアンデッドが街の随所に沸き、アウレリア神殿にも押し寄せるなどした一連の混乱は、幸いにして大きな被害を出すことなく治まった。
領主の命を救い、一連の事件の首謀者を捕らえた冒険者の働きで事なきを得た。との噂で、オゴフの街は、一行を“霧の英雄”と名付け、その活躍の話で盛り上がっている。
夏至祭まで滞在した冒険者たちは、温泉街を中心として賑わいを見せる様を、見ることが出来ただろう。
2日に渡ってあちらこちらに屋台が並び、マーファの祠は飾り立てられた。
広場には、大きな櫓が建ち、マーファの月の紋と、人が一人入るくらいの巨大な輪が花で編まれ、飾られた。
また、人々は花の冠を頭に乗せて、花人形の乗った山車と共に街を練り歩いていた。
急遽作られた山車の中には、霧を模した綿でくるまれた、“霧の英雄”たちのものが登場した。声をかけられ、一定の時間、その上で人々の声援をうけることになった冒険者たちもいたかも知れない。
出会いの祭りでもあるらしく、若者たちが花束を交換し合ったり、この日ばかりは夜中まで騒いでも咎められることはなかった。
薬の街らしく、儀式的な行事も幾つか見られ、祭りを引き締めていた。
アウレリア・マーファ神殿の管主が中心となって朝露を採取し、摘んだ薬草と調合されて、神々へと捧げられた。
人々に振る舞われたものもあった。すり潰された緑色のどろりとした液体は、すさまじい苦みが襲ってくるが、縁起物とあって、皆一口だけは口をつけたものだった。
子どもたちには、ハチミツとリンゴの汁のなかに、少し混ぜて出されたりもしていた。
中には、好物だという者もいて、ストレートで飲む者もいた。シュタールなどはその一人で、ウマっ、これうっまー! と、口のまわりを緑色に染めて満面の笑みを浮かべていたものだった。
祭りの最後の日の夜には、広場で作られていた櫓が盛大な焚き火と共に燃やされた。
炎の周りで人々は歌い、踊って最後の夜を送った。
やがて炎は消え、祭りは終わって日常の中に溶けていく。
その日常を守った冒険者たちは、ひとつの復讐劇と共に、オゴフの街で新たな物語を刻むこととなった。
人々の営みが続く限り、彼らの物語は、移ろいやすい霧のように、形を変えながらも語り継がれていくことになるだろう。
<彼女と復讐・完>
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魔音@GMより:
超おつかれさまでした!
まだ閉じられてないエピソードはありますが、まずは締め日という現実がありますので、これにて彼女と復讐は終了とします。
ありがとうございました。
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