タイトル | : 7-1-1:決闘 |
投稿日 | : 2015/07/12(Sun) 16:26:36 |
投稿者 | : 魔音@GM |
参照先 | : |
一行に事件のあらましを聞いたアコニは、
「みなさんのおかげでここまでこれました。感謝致します」
皆の前で礼をし、ねぎらいと感謝の言葉を一人一人にかけた。
「父も、大きな罪を犯していたのですね」
アコニは、自分の生い立ちを思い、暫く目を閉じていたが、
「まずは、終わらせます」
言って、領主に仇討ちの認可をあらためて求めた。
アコニはアイシスに決闘を申し込み、それは領主によって即座に許可された。
「行ってきますね」
準備を整え、彼女はその場に立った。
場所は城館の中庭で行われ、立ち会い人は、冒険者たちを含め、領主の供を含めた数人のひっそりとしたものだった。
アイシス側の立ち会い人はいなかったが、望みの武器が与えられた。彼は己の、細身のバスタードソードを選んだ。
対するアコニは、短剣を両手に一本ずつ持った。
左手に、デュラハンとの戦いにも用いた短剣を。右手には、炎の形を模した、波打つ刃を持つ短剣を握ったのだった。
領主の代理人がはじめの合図をし、両者は互いに身構えた。
「アコニ、久しぶりだね。いや、覚えていないか。君はあんなに小さかったものな」
戦いが始まると、アイシスはアコニに声をかけた。
「ねぇ、君の父上や母上に降りかかった、本当のことを私は知っている。
知りたくはないか?
知りたければこんなことはもうよそう」
アイシスは、油断なく剣を構え、防御の姿勢をとりながら、そんな話を持ちかけた。
対するアコニは、一息で間合いを詰め、炎紋の剣を一閃してアイシスの頬を切り裂いた。
「わたしの仲間が、父の所行も含めて教えてくれます。それには及びません」
言って、また間合いをとった。
「ほぅ……。剣の腕は、父君を既に越えているというのだね。
しかし、私を斃すことができるのかな? 君からは、切っ先に対する恐怖が見て取れるようだよ」
アイシスは、先ほどのアコニの踏み込みに、何かを気付いた様子で、防御の構えから切っ先をまっすぐ相手に向ける、攻めの姿勢に転じた。
そして、鋭い突きをアコニに向けた。
アコニは、それをぎりぎりのところで、かろうじて躱したように見えた。
「どうしたんだいアコニ、顔色が悪いね。
切っ先に映る君自身の顔をみせてやりたいな。まるで、古い悪夢を目覚めたまま見ているような顔をしているじゃないか。
ほら、どうした、私がかわりに見てやろうか?」
アコニの目を覗き込むように言葉を発しながら、立て続けに何度か突きを放ち続けた。
アコニは、それをひたすら受け続けた。
しかし、それも長くは続かなかった。
「目覚めのないわたしの悪夢は、あなたにはもったいなくてお見せできない。
だからもうおやすみ下さい、アイシス」
言うや、アイシスの切っ先を見切ったアコニは、波打つ短剣をアイシスの胸に深々と突き立てた。
アイシスは、力なくべしゃりと横たわった。
「……私には、おまえの胸に刺さる刀が見える。
それを抜いてやれるのは、私だけなんだぞ……?」
突き立った短剣の柄に、震える指を乗せながら、最後の言葉をアコニにかけた。
けれどアコニは、それに応えることはなかった。
決闘は、こうして終わった。
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魔音@GMより:
依頼人が、無事復讐の依頼を果たすシーンです。
ってか一行で説明がつく件(ノ∀`)!
冒険者の調査次第で、アコニがピンチになったかもしれなかったというわけです(解説)。
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