タイトル | : 4-3-7 杯は語る |
投稿日 | : 2015/05/31(Sun) 13:17:34 |
投稿者 | : 魔音@GM |
参照先 | : |
>「俺は、そいつら喧嘩で殺しあったわけじゃないと見ている
> 違うか?」
「仲間、か。
……、私も、喧嘩で殺し合ったわけじゃないと思ってきた」
杯の取っ手を握りしめながら、ファイナックは口を開いた。
「いいさ。この老いぼれの墓の中を、少し見ていくか?」
続く彼の言葉は、少し小声になったが、丁寧に語られた。
グラスランナーと若きヴァーレイト家の当主だった青年が、どういったいきさつで知り合い、行動していたのかは判らない。
ただし、彼はその両者と、関わりを持っていたと話した。
「グラスランナーは名をガザニアといって、彼らの種族にしては珍しい、定住を好む男だった。私が所有しているアパートの住人で、探索ごとに長けた衛士だった。
彫刻が得意というよりは、そちらが本職といっても私は驚かんかっただろうな。むしろ、衛士をやっていることこそが驚きだった。好きな彫刻以外には、特に何も話さなかったが、とても穏やかな男だった」
一つ息を切って、ファイナックは、ヴァーレイト家の男の話に入った。
「5年前、オランのヴァーレイト家に手紙を届けたのは、この私だった。仕事のついでだったんだ。
そして、若いベイリー・ヴァーレイトが一人でこのオゴフにやってきた。
その後のガザニアとベイリーの運命は、お前さんの知っているところだ。
「ベイリーに2日遅れてオゴフに戻ってきた私は、ガザニアと一度だけ、話す機会があった。ガザニアが、ベイリーの案内をしている。という話だった。
冗談で、観光ガイドに転職だなと言ってやったが、奴は笑わなかった。今もあの時の顔を、時々思い出すよ」
一つ長いため息をついて、ガザニアとベイリーの話を、男はひとまず終えた。
「実は、若いヴァーレイトの、その父親とも、私は知らぬ仲ではなかった」
ファイナックは、付け足すようにそんな話をした。
「即ち、亡きグラント卿が若い頃、前領主のセータル・ズレッドに引き合わせたのはこの私だった。30年以上も昔の話だ。
彼らは、農業技術への関心と、マーファ神への信仰で結びついていたように見えた。
以来両者は、グラント卿が死ぬまでの間、何らかの関わりを持っていたようだ」
お若いの、ヴァーレイト家と私には浅からぬ縁があるというだけの話だが、何か参考になったかな?
そう言って、彼は口を閉じた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔音@GMより
爺さんは乗ってきました。
ガザニアは、当時ベイリーに何か協力していたようです。それなのに、二人で喧嘩して殺し合ったというのはおかしい。というわけです。
また、5年前、ベイリーのヴァーレイト家に手紙を届けたのがこのファイナックだと語ります。
加えて、付け足しのように、ベイリーの父と、1年前に急死した前領主を引き合わせた話をします。
- WebForum -